「十中閉校に寄せて」
閉校の話を聞いた時、率直な感想は「ついに決まったか」でした。私はこれまで自治体関連の仕事をしてきたため、学校の閉校自体はよくある話と認識していました。しかし、いざ母校が閉校する状況になると、やはり寂しさを感じざるを得ません。
平成20年に私が入学した当時も同級生は50名足らずで西部と東部の出身者を混ぜて、なんとか2クラスに分けるという状況でした。入学当初、異なる小学校出身の同級生がいる状況に若干の不安を覚えていましたが、すぐに西部も東部も関係なく遊び、学んでいました。これも規模の小さい十中ゆえの良さだったのでしょう。
とはいえ、人との近さは時に厄介なものになることもあります。私は十中卒業後、同窓生がいない高校に進学し、さらにその後は愛知を離れました。当時は、近さを窮屈さと捉えていたのかもしれません。ただ、それは悪い選択ではありませんでした。環境を変えることは、新たな経験や気づきを与えます。来春から新しい環境に変わる在校生の皆さんの中には不安な気持ちもあるかもしれません。ただ、それを恐れ過ぎず、異なる環境を楽しんで欲しいと願っています。
同時に、近しい間柄もそれはそれで大切にしてほしいとも思います。私は郷里を離れ10年以上が経ちましたが、今でも同級生と会う度に人との近さも悪くないなと思わせてくれます。閉校後も、多くの人にとって十中がそのような心の拠り所として、あり続いてほしいと思います。
加藤 穂高